Release Recap

Hermes Agent v0.9.0——プラットフォーム数を取りに行ったリリース

Hermes Agent

Hermes Agent

@hermesagents

April 13, 2026

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AI アシスタントが本物かどうかを一番速く確かめる方法は、お母さんにメッセージを送らせてみることだ。

冗談ではない。2025 年いっぱいから 2026 年第一四半期まで、自分が試した「AI エージェント」は全部、同じ問題で同じように転んだ。普通の人が普段使っているプラットフォーム上で、その普通の人に届かないのだ。Telegram、まあ届く。Discord、問題ない。iMessage?沈黙。家族全員が iMessage の上で暮らしている我が家にとって、これはつまり——v0.9.0 までの Hermes Agent には、母にメッセージを送るすべがなかった。

2026 年 4 月 13 日、v0.8.0 が自分の脳にパッチを当ててからきっかり 5 日後、v0.9.0 はそれを直した。同じ形をした穴を他に二つ塞ぎ、ゲートウェイ全体をひと通りセキュリティ監査し、そのうえで 5 日間に 269 本の PR を捻じ込んでいる。リリースノートはこの版を16 プラットフォームのエージェントだと書いている。2 ヶ月前、この数字は 7 だった。

土曜日 1 日に着陸した 3 つのプラットフォーム

v0.9.0 で出荷された新規ゲートウェイは三つ。どれも既存のリスト一覧では塞げない穴を、それぞれ一つずつ塞ぎにいっている。

一つ目は BlueBubbles(iMessage)。BlueBubbles は何年も前から iMessage を外の世界と繋いでくれているオープンソースのブリッジで、v0.9.0 はその webhook プロトコルに対する完全なアダプタを出した。自動登録までやってくれるので、URL を手で書き換える必要はない。家に BlueBubbles を回している Mac が一台あれば、その瞬間から iMessage を喋れる Hermes Agent が手に入る。

二つ目は WeChat(微信)、ネイティブの iLink Bot API 経由。スクリーンスクレイプでもなければウェブ版エミュレータでもない、本物のボット API。ストリーミング出力もメディアアップロードもこなす。中国本土で Hermes を運用する人にとって、これは「外国人がいじっているプロジェクト」と「実際にデプロイできるもの」の境目だ。

三つ目は WeCom コールバックモード——企業微信の「自社構築アプリ」側のインテグレーションで、原子的な状態永続化が付いている。ゲートウェイが再起動した瞬間に企業デプロイメントが会話の途中でユーザーを放り出すことがないように、ということだ。「原子的な状態永続化」というフレーズは v0.9.0 のリリースノートに三回出てくる。これを書いた人は、状態がずれて起きるバグにそうとう苦しめられたのだろう。

3 つのプラットフォーム、まったく違う 3 種類の運用カテゴリ、1 つのリリース。

ターミナルにうんざりしている全員のための Web Dashboard

「誰が Hermes を使えるか」という方を組み替えにかかったもう一つの変更が、新しいローカル Web Dashboard だ。Hermes のインストールと並んで動くブラウザ UI で、これまで hermes setuphermes model の後ろに隠れていた設定をテーブルの上に並べる。ローカルで動き、外に電話をかけない。「友達はターミナルを使わない」という問題の答えが「じゃあターミナルを学ばせろ」ではなくなった、初めてのリリースだ。

これは同時に、「Hermes Agent には GUI がある」と言うときに脚注が要らなくなった最初のリリースでもある。v0.11.0 では dashboard に i18n、テーマ切り替え、モバイル対応が積まれていく——でも土台はこの版で敷かれた。

/fast、/debug、そして「無いと寂しい小さなコマンド群」

v0.9.0 で着地したスラッシュコマンドのうち、いちばん殴ってくる重さを持っているのは /fast だ。これは現在のモデルをプロバイダ側のプライオリティレーンに切り替える——もちろん、プロバイダがそういうレーンを用意していれば、の話。リリース時点で機能するのは OpenAI と Anthropic。書くと小さい話だが、Hermes が単一のツール呼び出しでぐるぐる回っているのを見ている瞬間に、これは大きくなる。/fast を打って、一拍待って、進む。

その周りに:/debug は、走らせているどのゲートウェイでも一発で診断を引き出す。hermes debug share はデバッグバンドルを pastebin に上げてくれるので、巨大なテキスト塊ではなくリンク一本を貼れる。hermes dump は issue やチャットにそのまま貼れるセットアップサマリを出力する。/compress <focus> は、会話を圧縮するときに「これは残してほしい」と方向を渡せる。

どれも目玉機能ではない。だが、どれも「奪われて初めて、自分が毎日それを使っていたと気づく」タイプの機能だ。

backup、import、そして「で、次どうすんの?」の死

新しいコマンドが二つ、セルフホスト型エージェントで一番つらい体験のひとつを静かに片付けた。hermes backuphermes import で、設定の移行パス全体をカバーする。skill、session、memory、cron ジョブ、.env の値——全部まるごとシリアライズして書き出し、まるごと読み戻せる。

普段はまったく存在感のない機能だ。VPS が燃える日まで存在感がない。その日、これが一晩を救う。それと同時に、3 月に書いた「5 ドル VPS」記事で語った話を、本当の意味で持ち運び可能にしたのもこの機能だ。v0.9.0 までは「Hermes を別のマシンに移す」とは「新しい Hermes をゼロから組み立て直して、設定を全部覚えていることを祈る」という意味だった。v0.9.0 以後は、tarball 一つだ。

Termux、プロキシ、そして派手じゃないプロバイダ一括追加

ネイティブの Android/Termux が v0.9.0 でちゃんとしたインストールフローと TUI 最適化を手に入れた。Termux パスはもはや実験的なフォークではない。Linux や macOS と同じ、フルテスト済みのインストールフローの上を走る。ポケットの中の電話でエージェントを動かしたい? README と hermes がやっと、「どう入れるか」について同じ口を利くようになった。

同じ波で、統一プロキシサポートもやっと揃った。SOCKS、Discord 専用プロキシ、システムプロキシの自動検出が、全プラットフォームで一貫して動く。企業ファイアウォールの裏でセルフホストを回している人は、これでプラットフォームごとに別々のプロキシ戦争を戦わなくてよくなった。

プロバイダ側では、このリリースで xAI(Grok) が一級市民の provider としてネイティブ統合された。ネイティブの Xiaomi MiMo、portal リクエスト対応の Qwen OAuthVoxtral TTS(Mistral の音声モデル)も入った。さらに、hermes plugins 経由で切り替え可能な、プラガブルな コンテキストエンジンまで入っている——コンテキストウィンドウの組み立て方は、もう「変えたければプロジェクトを fork するしかない」ブラックボックスではない。

一行で弔われた破壊的変更

v0.9.0 の breaking changes セクションは短いが、読む価値がある。/prompt スラッシュコマンドが消された。リリースノートはこれを「a prefix expansion footgun(プレフィックス展開という自爆銃口)」と呼んでいる。引退する機能が手に入れる弔辞としては、おそらくもっとも誠実な部類の一行だろう。LLM_MODEL は deprecated になり、新変数への自動マイグレーションが付いた。

セキュリティ:単発のパッチではなく、まとまった硬化作業

v0.9.0 はリリースノートが包括的なセキュリティ強化と直接呼ぶ作業を一巡走らせている。リストは監査チェックリストがコードベースを端から端まで歩いたような形をしている:Twilio webhook の署名検証(SMS 側 RCE 経路を一つ閉じる)、sandbox 操作内のシェルインジェクション中和、git の引数インジェクション対策、画像アップロード時の SSRF リダイレクトガード、checkpoint manager のパストラバーサル防御、API server の認証強制。

この種の作業は、それ単独でブログ記事にはならない。それでも v0.9.0 で重要なのは、このリリースが Hermes が初めて本物の消費者向けチャットプラットフォーム——iMessage と WeChat——に手を伸ばし始めた版でもあるからだ。シェルコマンドを実行できるチャットボットの脅威モデルは、それを電話番号に向けた日から変わる。

数字を見る

269 本のマージ済み PR、24 人のコントリビューター、v0.8.0 から 487 個の commit。5 日。

この種のケイデンスは v0.9.0 限りの話ではない。v0.7.0 → v0.8.0 が 5 日。v0.9.0 → v0.10.0 は 3 日になる。次の 1 ヶ月の形は、すでにこのリリースから見えている——週次ペースで積み上がるリリースの山、それぞれが自分の名前を持つに値する単一テーマの周りを回る。v0.9.0 のテーマはプラットフォームだ。8 日後、v0.11.0 はインターフェース層を丸ごと作り直す。5 週間後、v0.14.0 は「どうやってインストールするか」そのものを書き換える。

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BlueBubbles のところに何度も戻ってきてしまう。v0.9.0 でいちばん行数を食ったのは、おそらく誰も気にしない transport 層のリファクタだ。比較的少ない行数で済んだ機能の一つに、iMessage アダプタがある。それでもなお、母に電話して話したのは後者の変更だった——それが、自分のサーバ上のエージェントを、自分が毎日実際に話す相手に届かせた変更だからだ。

「プラットフォームが増える」タイプのリリースは、外から見るとどうしても弾みがない。bullet が並ぶだけのリストに見える。だが、よく見ると、「プラットフォームが増える」は実は別の言葉と同じ形をしている——「これを使える人が増える」だ。v0.9.0 は土曜の午後 1 日で、その人を三組増やした。

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