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Termux を使って Android スマホに Hermes Agent を入れる

Hermes Agent

Hermes Agent

@hermesagents

March 15, 2026

7 分で読める

机の引き出しに、ここ 1 年半ばかり「もう死んだ」と思い込んでいた古い Pixel 4a が眠っている。バッテリーがへたっていて、背面のガラスが割れていて、SIM トレイのちょうつがいもわずかに甘い。しかし同時に、2.0 GHz の 8 コア CPU と 6 GB の RAM を積んでいる——要するに、小型 Linux マシンとしては十分立派なやつだ。

先週、充電をして、Termux を入れて、そこに Hermes Agent を押し込んだ。20 分後には、そのとき実際に持ち歩いていた現役のスマホの Telegram アプリから、AI アシスタントと話をしていた。この記事は、それがどう動いているのか、そしてなぜスマホの「制約」が Hermes という代物を見るのに意外と良いレンズになるのかという話だ。

Android 機の上で実際に何が動いているのか

Hermes Agent は Python のプログラムだ。Termux ——Play Store にある古いほうではなく、F-Droid のビルド——が、Android の上に本物の Linux ユーザーランドを与えてくれる。apt、Python 3、git、ssh、シェル。これで、Hermes のインストール手順の大半が、VPS と同じやり方でそのまま通る。

Android で違うのは Hermes のほうじゃない。それを取り巻く OS のほうだ。

Android は、長時間バックグラウンドで走り続けるプロセスにとっては敵意のあるホストだ。systemd はない、伝統的な init もない、電源管理は攻撃的——画面がフォアグラウンドに出ていないプロセスを平気で凍らせにくるし、あなたが画面をロックしたその瞬間にそれをやる。素朴に Hermes を起動すれば、画面が消えた途端に Telegram のボットは返事をしなくなる。

コツは Termux 内蔵の wakelock ヘルパ(termux-wake-lock)だ。これが Android に「お願いだからこのプロセスには手を出さないで」と丁寧に頼んでくれる。それと tmuxscreen を組み合わせて、シェルが切れてもセッションが生き残るようにして、本体を充電器に挿しておく。これであなたの引き出しの中に、小さな、常時稼働のサーバが一台できあがる。

なぜ Hermes がそもそもスマホに収まるのか

「スマホ上の AI アシスタント」を名乗るプロジェクトの多くは、だいたい 2 通りのどちらかに行き着く。ひとつは巨大なモバイルアプリで API 呼び出しをラップしたもの(要するに、よその会社の agent 用のチャットクライアントにすぎない)。もうひとつは、端末上で量子化された小型モデルを直接走らせようとするもので、これは遅くてあまり賢くない代物を返してくる。Hermes はそのどちらにも進まない。

スマホの上で実際に動いているのは Hermes のゲートウェイだ——Telegram、Discord、Slack などでメッセージを送受し、セッションを管理し、あなたが選んだ言語モデルのプロバイダと会話する、あの部分。言語モデル本体はスマホの中に住む必要はない。スマホから HTTPS で Nous Portal、OpenAI、Anthropic、その他どのプロバイダにでも話させればいい。スマホの仕事は、小さくて、安くて、常にオンの「調整役」になることだ。重い仕事はクラウド、別のサーバ、あるいはあなたの好きな場所でやらせればいい。

ここで、v0.2.0 で下されたアーキテクチャ上の判断たちが、まるで Hermes 向けに設計されていないデバイスの上でひっそりと効いてくる。集中型のプロバイダルーターのおかげで、スマホには普段は安いモデル(たとえば Nous Portal の無料枠の MiMo)をデフォルトにさせておいて、本当に難しい仕事のときだけより強いモデルに引き上げることができる。スキルの manifest システムは、前提条件がその端末に実在するスキルだけをロードする——ヘッドレス Chrome を入れていないスマホの上で、ブラウザ自動化スキルが勝手に Chrome を立ち上げようとすることはない。ファイルシステムのチェックポイントとロールバック機構もちゃんと動く。下のマシンがどれだけ非力かを気にしない作りだからだ。

何を諦めて、何を得るのか

スマホの上で動かないものは、だいたい予想通りだ。systemd サービスとしてのインストールはできない(なので代わりに tmux を使い、再起動したらゲートウェイを手動で立ち上げ直すことを受け入れる)、重いローカル推論は無理、Docker ベースのツールサンドボックスも無理、ローカルのブラウザ自動化も制限される。ブラウザ系スキルは、別のマシンのヘッドレス Chrome を指してやれば依然として使えるが、Android 本体が Playwright を立ち上げてくれるわけではない。

代わりに得るのは、「小さな常時稼働サーバ」の魅力のすべてだ。標準で LTE が載っている(そのスマホが自分自身のネットワークでもある)、UPS 内蔵(停電しても電池で数時間はもつ)、監視も内蔵(バッテリー表示が、このサーバが今何をしているかを正確に教えてくれる)、そして完全に静音。ファンの音ゼロ、ラックスペースゼロ、電力はナイトライト並み。

もっと大きな話

死にかけのスマホで Hermes を動かすことの本当に面白いところは、「動く」こと自体ではない。200 ドルのサーバで動かすのと同じやり方で動く、という点だ。agent が走っているマシンと切り離されてしまえば、それをどのマシンで走らせるかはもう大した違いではなくなる。

引き出しの中で死んでいた Pixel 4a は、一日に十回話しかけるボットの住処としては十分立派だ。これは妥協ではない。これこそが、この話の全体の骨格だ。

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